PROJECTSプロジェクト紹介

PROJECTS #03

化学品事業

拡大を続けるMLCC市場に
「チーム・ニッケル粉」が挑む。
~ ニッケル粉グループの活躍ストーリー ~

拡大を続けるMLCC市場に
「チーム・ニッケル粉」
が挑む。
~ ニッケル粉グループの活躍ストーリー ~

スマートフォンや自動車・電気自動車(EV)などに搭載される電子機器の性能向上が進んでいる。端末の電子回路の大規模化にともない、回路の安定動作に欠かせないMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の電子部品の搭載数は飛躍的に増大している。
電子部品材料を開発・製造・供給する東邦チタニウム化学品事業部は、MLCCの重要な材料である「超微粉ニッケル」を取り扱っている。ひっ迫するMLCCの需要を材料面で支え続けるため、製造・開発・営業の各グループが連携し、日々顧客ニーズに対応している。各グループの活躍社員に集まっていただき、市場動向や仕事への思い、今後の展望を聞いた。

『超微粉ニッケル』でMLCC市場に挑む

「チタン製造の当社が、なぜ超微粉ニッケルを扱うようになったか。背景には、MLCCを構成する材料をすでに供給していたことがあります」と語るのは化学品企画営業部の菅原だ。
東邦チタニウムは1999年に、コンデンサ内部電極に用いられ超微粉ニッケルを自社開発し、事業化させた。当時、携帯電話やカーナビなど、身近な電子機器はインターネットやGPSを組み込んだ“電装化”が始まっており、端末に搭載されるMLCCの需要は高まっていた。
東邦チタニウムは、当時すでにコンデンサの重要なパーツである誘電体材料に使用される「高純度酸化チタン」を自社で生産できるという大きな強みを持っていた。
誘電体材料だけでなく、内部電極材料のニッケル粉も開発できれば、顧客にMLCCの製造に必要な材料を網羅的に供給できると考えるのは事業展開上、自然な流れであった。しかし、ニッケル粉の原料であるニッケル地金は自社で製造していない上に、後発の参入となる。
一方、製造プロセス面で勝算はあった。チタン製造で培った還元技術や粉体製造技術を応用すれば、サブミクロン単位のさまざまな粒径の粉末を開発でき、高品質なニッケル粉を量産できる手応えをつかんでいた。
こうしてニッケル粉開発・製造グループを起ち上げ、本格的にニッケル粉の開発がスタートした。それでも開発過程は数多くの苦難の連続であったが、1999年に『超微粉ニッケル』として商品化された。以来、20年超の時を経て、急拡大するMLCC市場の動向、性能向上に材料面から支え続けている。東邦チタニウムは、誘電体材料と内部電極材料用の両方を供給できる国内唯一のメーカーとなった。

[積層セラミックコンデンサ・MLCCの構造(イメージ)]

[積層セラミックコンデンサ・MLCCの構造(イメージ)]

新工場建設、先を見越して生産強化へ

2022年度上期において、『超微粉ニッケル』への生産要求は拡大を続けている。製造現場はどのように対応しているのだろうか。茅ヶ崎ニッケル粉製造グループの宇野はこう答える。
「超微粉ニッケルは茅ヶ崎工場・若松工場2拠点で製造しており、これまで伸び続ける販売量に合わせて生産体制を強化してきました。限られた人員と設備の中で、お客様の生産への要求に応えるために、営業部からの情報と生産の状況を逐一確認しながら対応しています」。
若松工場では、超微粉ニッケルの需要に応えるため、2つのプラントを新設し生産強化を図っている。
製造現場は、生産計画にしたがって決められた製品・数量を安定的に製造できるように努めるとともに、営業との密なやり取りを重視し販売動向の変化にも柔軟に対応しているという。

「当社のいいところだと思いますが、営業・製造の垣根は低く、遠慮無く話し合う関係ができており、お互いに本音を言い合います。お客様のニーズに応える気持ちをひとつにして、たとえ難しそうな案件であっても必ず解決策を提示して対応します」(宇野)。

次世代を担う製品開発のやりがい

MLCCは、コンデンサの中に電気を貯める力(静電容量)が大きくなるほど性能が向上する。静電容量を高めるには、内部電極の膜厚を薄くして、積層枚数を増やす方法が考えられる。この高積層化に貢献するのが、内部電極に使われる超微粉ニッケルだ。超微粉ニッケルの粒子が小さくなるほど、MLCCの電極を薄くできる。一方で、薄くすることで生じるデメリットもあるため、ニッケル粉の製品設計は膜厚とのバランスを取りながら進められる。
「粒径の小径化や粒度分布、特性に違いを持たせるなど、顧客のニーズに合わせたニッケル粉開発は多様化しています」と話すのは、ニッケル粉開発グループの上田だ。

「『超微粉ニッケル』の需要は拡大していますが、競争も激しい分野なので、開発スピードをもっと上げていく必要があります。日々プレッシャーを感じますが、その分開発者としてのやりがいも高い。化学品事業部の次世代を担う製品を開発しているという手応えを感じます」(上田)。

『超微粉ニッケル粉』の開発は、大きく反応工程と精製工程に分かれるが、上田は反応工程を担当している。一方、精製工程を担当するのは同じグループの竹中だ。

「私は超微粉ニッケルの特性・品質を改良する工程を担当していますが、反応工程の品質も重要となるため、反応工程の知識も必要です」(竹中)。

「また、最近ではさまざまな分野から製品開発部門に人材が集まってきていて、新たな材料を作ったり、新たな製法の可能性を探ったりしています。個人の多様な経験や知識、若い人の新しい価値観も組み合わせて、各人が活躍分野をどんどん広げています」(竹中)。

[超微粉ニッケルの粒子(サブミクロンの粒径)]

[超微粉ニッケルの粒子(サブミクロンの粒径)]

製造・開発・営業の一体的活動

「顧客に向き合い、その要求に応えるのが、営業の最前線で活躍する化学品企画営業部の石川と菅原だ。

「私は入社4年目ですが、入社の早い段階で様々な仕事を任せてもらっています。お客様と直に接することで営業のやりがいを実感しています。日々感じるのは、お客様からの要求はつねに変化していること。レベルの高い要求に対しても、当社は製造・開発・営業が一体的に動いて対応。状況変化に合わせて何が求められているのかを皆で考え、打合せを重ねてベストな提案を導きます。非常にエネルギーを感じる会社です」(石川)。

「お客様の要求をいかに早く製造・開発にフィードバックできるかが、成長するマーケットにおいて成功するポイントだと思います。同時に中長期の視点を持ち、市場の動向を探ることも大事です。今後も成長するニッケル粉市場の中で、技術力・供給力を磨き、当社の存在感を高めていきます」(菅原)。

成長するマーケットに可能性を重ねる

MLCCは電気で駆動するすべての機器に搭載されており、小型化、大容量化といった進化が大きく期待されている。

「材料開発は、成長するマーケットに対応することも大切ですが、今後はカーボンフリーやSDGsへの配慮から、今までとは違う開発・製造方法を追求していくことも重要になります。新しい知見や様々な専門分野の知識をもった人たちと力を合わせることで、業界変化や社会変化に対応していきます」(宇野)。

『超微粉ニッケル』の開発・製造そして営業活動には、仕事の達成感や自己成長を実感できる条件や環境のすべてが揃っている。
今後も成長が見込まれるMLCC市場において、東邦チタニウムはあくまで挑戦者の立場を取る。飛躍的な技術革新は、つねにチャレンジする姿勢から生まれる。

PROJECT MEMBER

  • 宇野 友則Uno Tomonori

    化学品事業部 化学品製造・開発部
    茅ケ崎ニッケル粉製造グループ
    2008年入社
    茅ヶ崎工場勤務

  • 上田 正也Ueda Masaya

    化学品事業部 化学品製造・開発部
    ニッケル粉開発グループ
    2012年入社
    茅ヶ崎工場勤務

  • 竹中 稜Takenaka Ryo

    化学品事業部 化学品製造・開発部
    ニッケル粉開発グループ
    2018年入社
    茅ヶ崎工場勤務

  • 菅原 竜太Sugawara Ryuta

    化学品事業部 化学品企画営業部
    1999年入社
    横浜本社勤務

  • 石川 智之Ishikawa Tomoyuki

    化学品事業部 化学品企画営業部
    2019年入社
    横浜本社勤務

当社のウェブサイトは品質の維持・向上を目的としてCookieを使用しています。Cookieの利用にご同意頂ける場合は「同意する」をクリックして下さい。
Cookie利用の詳細について